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2021.08.01

刑事事件

公判手続における被害者特定事項の秘匿措置とは?

 

被害者等の情報を保護するための制度として,公判手続における被害者特定事項の秘匿措置というものがあります。

 

本日は,「公判手続における被害者特定事項の秘匿措置」について説明いたします。

 

目次

     

    1 公判手続における被害者特定事項の秘匿措置とは

     

    裁判所は,特定の対象事件について,当該事件の被害者等から申出があるときは,検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き,相当と認めるときは,被害者特定事項(当該事件の被害者の氏名又は住所その他その者が当該事件の被害者であることを特定させることとなる事項をいいます。)を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができます(刑事訴訟法第290条の2第1項)。

     

    また,被害者等からの申出がない場合であっても,裁判所は犯行の態様,被害の状況その他の事情により,被害者特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより被害者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認められる事件について,検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き,相当と認めるときは,被害者特定事項を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができます(同条第3項)。

     

    被害者特定事項の秘匿措置がとられた場合,訴訟関係者は被害者特定事項(被害者の氏名,住所のほか,被害者の勤務先や通学先,親族の氏名などが対象となります。)について,公開の法廷で明らかにしないように対応することが求められます(同法第291条第2項,第295条第3項,第305条第3項)。例えば,被害者の実名の代わりに「被害者」と呼称したり,仮名(Aさんなど)を用いたりする方法などがあります(同法規則第196条第4項)。

     

     

    2 対象事件について

     

    被害者特定事項の秘匿措置がとられる対象事件とは,以下の通りです。

     

    ①強制わいせつ及び強制性交の罪,わいせつ又は結婚目的に係る略取誘拐の罪等

    ②児童福祉法違反(児童に淫行をさせる罪等)の罪,児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童買春,児童ポルノ所持等)の罪

    ③犯行の態様,被害の状況その他の事情により,被害者特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより被害者等の名誉又は社会生活の平穏が著しく害されるおそれがあると認められる事件

    ④犯行の態様,被害の状況その他の事情により,被害者特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより被害者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認められる事件

     

     

     



     

     

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