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2020.10.15

少年事件

少年事件における検察官送致(逆送)とは?

 

少年事件において,少年に対する処分の中に「検察官送致(逆送)」という処分があります。

 

本日は,「検察官送致(逆送)」について説明いたします。

 

目次

     

    1 検察官送致(逆送)とは

     

    検察官送致(逆送)とは,少年を調査した結果,保護処分ではなく成人と同様に刑事処分を科すことが相当である場合や,本人が20歳以上である場合に,検察に送致する決定をいいます(少年法第19条第2項,第20条)。

     

    以上のとおり,検察官送致(逆送)には,刑事処分相当を理由とするものと,年齢超過を理由とするものとの2種類があります。

     

     

    2 刑事処分相当を理由とする検察官送致(逆送)

     

    少年法第20条第1項は,「家庭裁判所は,死刑,懲役又は禁錮に当たる罪の事件について,調査の結果,その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは,決定をもって,これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。」と規定しています。

     

    そして,「その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるとき」については,実務上,保護処分によっては矯正改善の見込みがない場合(保護不能)のみならず,事案の性質,社会感情,被害感情等から保護処分で対処するのが不相当な場合(保護不適)も含まれると考えられています。

     

    また,「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であって,その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るものについては」,原則として検察官送致決定をしなければならず(原則逆送事件),例外的に,「調査の結果,犯行の動機及び態様,犯行後の情況,少年の性格,年齢,行状及び環境その他の事情を考慮し,刑事処分以外の措置を相当と認めるときは,この限りでない」と定めています(少年法第20条第2項)。

     

    なお,成人年齢の引き下げに伴い,少年法の改正を議論してきた法制審議会の部会が発表した答申案によりますと,上記原則逆送事件の対象を,18歳,19歳の少年が「法定刑の下限が1年以上の懲役・禁固の罪」を犯した場合にまで拡大することを求めています。

     

     

    3 年齢超過による検察官送致(逆送)

     

    少年法第19条第2項は,「家庭裁判所は,調査の結果,本人が20歳以上であることが判明したときは,…,決定をもつて,事件を管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。」と規定しています。

     

    なお,少年法は年齢の基準時点を処分時としていますので,犯行時や送致時には20歳未満であった者が手続中に20歳になった場合も検察官へ送致されることになります。

     

     



     

     

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