COLUMN

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2018.07.13

刑事事件

改正刑事訴訟法の施行 ~被疑者国選弁護制度の拡大~

 

平成30年6月1日より改正刑事訴訟法が一部施行されました。

 

今回施行された事項は,以下の3つになります。

 

①被疑者国選弁護制度の拡大

 

②協議・合意制度(日本版司法取引)及び刑事免責制度の導入

 

③ビデオリンク方式による証人尋問の拡大

 

本日は,①の「被疑者国選弁護制度の拡大」のほか,同じく弁護人による援助の充実化を目的として平成28年12月に施行された「弁護人の選任にかかる事項の教示義務」について説明いたします。

 

目次

     

    1 被疑者国選弁護制度の拡大とは

     

    そもそも,国選弁護とは,刑事事件の被疑者・被告人が資力等の理由で弁護人を選任できない場合に,裁判所が弁護人を任命し,その費用も立て替えられる制度をいいます。

     

    今回の改正で,勾留されている被疑者全てにおいて,国選弁護人を付することが可能となりました。

     

    これまでは,被疑者国選弁護人が付されるのは「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件について勾留状が発せられている場合」に限られていました。したがって,「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁固」に当たらない事件については(例:住居侵入罪,ストーカー規制法違反など),国選弁護人が付されることはなく,資力のない被疑者は弁護人の援助・アドバイスなしで捜査機関の取調べに対応しなければなりませんでした。

     

    しかし,今回の改正で,勾留状が発せられている被疑者すべてが対象になりましたので(刑訴法第37条の2,37条の4),勾留されている被疑者については,どのような事件であっても国選弁護人が付されることとなりました。なお,資力において一定の要件はあります。

     

    制度の拡大により,弁護人による援助の充実化が図られるといえます。

     

     

    2 弁護人の選任にかかる事項の教示義務とは

     

    弁護人による援助の充実化として,「弁護人の選任にかかる事項の教示義務」というものがあります。こちらも「被疑者国選弁護制度の拡大」と同じように,平成28年5月の刑事訴訟法改正により新しく定められたもので,すでに平成28年12月から施行されています。

     

    今回の改正により,被疑者国選の対象事件が全勾留事件に拡大された一方,逮捕後勾留前段階の被疑者については,未だ国選弁護の対象になっていません。しかし,逮捕後勾留こそ,弁護人の援助を受ける必要性の高い場面でもあります。そこで,単に弁護人選任権を告知するだけではなく,現に弁護人を選任することができるよう,以下のような改正がされました。

     

    すなわち,これまでは,貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときについて,「弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない」とされていて,警察官等は単に弁護人を選任できる旨を告知するにすぎませんでした。それが,本改正により,被疑者に対して,「弁護士,弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない」ことが付け加えられましたので,弁護人を選任したい被疑者は,弁護人を選任する方法を具体的に知ることができるようになりました。

     

     

     



     

     

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