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2022.06.01

刑事事件

未遂減軽とは?

 

本日は,「未遂減軽」について説明いたします。

 

目次

     

    1 はじめに

     

    刑事裁判において,被告人に言い渡される刑罰(量刑)を考えるうえで,法定刑という概念があります。

     

    法定刑とは,刑罰法規の各条文に規定されている刑をいい,例えば,殺人という罪(刑法第199条)については,「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」と定められている刑が殺人罪の法定刑ということになります。

     

    このように,被告人に言い渡される刑罰(量刑)はこの「法定刑」を出発点としますが,再犯加重などの刑の加重事由や,心神耗弱や自首などの刑の減軽事由がいくつか存在しますので,かかる刑の加重・減軽事由により刑の幅が修正されることがあります(このような刑の修正を行って導かれた刑を「処断刑」といい,実際に被告人に言い渡される刑を「宣告刑」といいます。)。

     

    そこで,本日は,減軽事由の一つである「未遂減軽」について説明いたします。

     

     

    2 そもそも,未遂罪とは

     

    未遂犯とは,犯罪の実行に着手したものの,これを遂げなかった者をいいます。すなわち,未遂罪は,犯罪行為に着手したものの,犯罪結果が生じなかった場合に成立することになります。

     

    例えば,被害者を殺そうと考え,被害者を包丁で刺したものの,死亡するに至らなかった場合(殺人未遂罪)などが考えられます。

     

    そして,犯罪結果が生じなかった理由が自己の意思によって中止した場合を中止未遂,その他の事情により結果が生じなかった場合を障害未遂として区別しています。

     

    なお,すべての犯罪につき未遂罪が処罰されるわけではありません。個々の罪ごとに処罰されるかどうかが定められており(刑法第44条),殺人罪,強盗罪,詐欺罪などは未遂罪を処罰する旨が規定されていますが,器物損壊罪,業務妨害罪,公然わいせつ罪などには未遂罪が規定されておらず,処罰されません。

     

     

    3 未遂減軽について

     

    刑法第43条には,「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は,その刑を減軽することができる。ただし,自己の意思により犯罪を中止したときは,その刑を減軽し,又は免除する。」と定められており,本文が障害未遂に関するもの,ただし書が中止未遂に関するものになります。

     

    このように,障害未遂の場合は刑の任意的減軽,すなわち刑を減軽するかは裁判官の裁量次第であるのに対し,中止未遂の場合は刑の必要的減免,すなわち刑が必ず減軽ないし免除されることになります。

     

     

     



     

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