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2022.03.01

刑事事件

自首による刑の減軽とは?

 

本日は,「自首による刑の減軽」について説明いたします。

 

目次

     

    1 はじめに

     

    刑事裁判において,被告人に言い渡される刑罰(量刑)を考えるうえで,「法定刑」という概念があります。

     

    「法定刑」とは,刑罰法規の各条文に規定されている刑をいい,例えば,強盗という罪(刑法第236条)については,「5年以上(20年以下)の懲役」と定められている刑が強盗罪の「法定刑」ということになります。

     

    このように,被告人に言い渡される刑罰(量刑)はこの「法定刑」を出発点としますが,再犯加重などの刑の加重事由や,心神耗弱や自首などの刑の減軽事由がいくつか存在しますので,かかる刑の加重・減軽事由により刑の幅が修正されることがあります(このような刑の修正を行って導かれた刑を「処断刑」といい,実際に被告人に言い渡される刑を「宣告刑」といいます。)。

     

    そこで,本日は,減軽事由の一つである「自首による刑の減軽」について説明いたします。

     

     

    2 自首による刑の減軽について

     

    そもそも,自首とは,罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に,自発的に自己の犯罪を申告し,その処分を求める意思表示のことをいいます。

     

    そして,自首による刑の減軽について法律は,「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは,その刑を減軽することができる。」と定めておりますので(刑法第42条第1項),自首が成立する場合,裁判官はその裁量により,刑を減軽することができます。

     

    さらに,減軽の方法について法律は,「有期の懲役又は禁錮を減軽するときは,その長期及び短期の2分の1を減ずる。」などと定めておりますので(同法第68条第3号),法定刑の最高限と最低限を各2分の1に減じて「処断刑」を算出し,その範囲内で具体的な刑罰を決めることになります。

     

    強盗罪を例にとると,前述のとおり,強盗罪の法定刑は「5年以上(20年以下)の懲役」となりますので,裁判官が,自首が成立し刑の減軽が相当であると判断した場合には,「5年以上(20年以下)の懲役」の2分の1にあたる「2年6月以上(10年以下)の懲役」のなかで判決が言い渡されることになります。

     

    以上のとおり,自首に関する一般的な効果としては刑の任意的減軽とされていますが,個別の犯罪について自首の特別な効果を定めている場合があります。例えば,内乱予備陰謀幇助(刑法第80条)や私戦予備陰謀(刑法第93条)については,自首の効果として必要的免除の効果が規定されています。

     

     



     

     

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