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2018.07.01

少年事件

試験観察とは?

 

少年事件において,裁判官が,「〇か月の間,少年を試験観察に付する」という判断をするときがありますが,「試験観察」とはどのような処分なのか,保護観察とは何が違うのか,疑問に思う方も多いと思います。

 

そこで,本日は「試験観察」について説明いたします。

 

目次

     

    1 試験観察とは

     

    家庭裁判所では,少年に対する処分を直ちに決めることが困難な場合に,少年を適当な期間,家庭裁判所の調査官が少年の生活態度を観察して様子を見ることがあります。これを試験観察といいます。

     

    少年法には,「家庭裁判所は,保護処分を決定するため必要があると認めるときは,決定をもって,相当の期間,家庭裁判所調査官の観察に付することができる。」と規定されています(少年法25条1項)。

     

    試験観察を行う趣旨としては,①十分な調査を尽くさせる趣旨と,②「プロベーション」機能を期待するという趣旨があるといわれています。②の「プロベーション」機能とは,少年自身に,試験観察中の行動や生活態度によっては矯正施設に行かなければならないという心理的影響を与え,緊張感を持った生活の中で,調査官や付添人,補導受託先等からの生活指導を受けさせ,少年の更生を図ることを意味します。

     

     

    2 試験観察の要件

     

    少年法25条1項は,「保護処分を決定するため必要があると認めたとき」としか規定していませんが,一般的には,以下の4つの要件を満たす必要があるといわれています。

     

    ①保護処分に付する蓋然性があること

    ②直ちに保護処分に付することができないか,または相当でない事情があること

    ③調査官の観察活動が必要であり,かつ,その結果,適切な終局決定ができる見込みがあること

    ④相当期間内に観察目的を達成する見込みのあること

     

    具体的に試験観察を活用することが期待されるケースとしては,それまで調査の結果だけでは保護処分の必要性の有無や保護処分の種別を決定するには至らないけれども,さらに相当期間調査を行うことによってそれらを見極められる可能性がある場合や,観察期間中に少年や保護者に対し,調査官がケースワーク的な働きかけをすることによって,少年の社会内での更生可能性を見出せそうな場合,観察期間中に学校,職場,地域社会において社会資源を活用し,環境調整をすることによって,少年の更生が容易になる可能性がある場合などが考えられます。

     

     

    3 試験観察の期間

     

    一般的には,在宅試験観察の場合,3~4か月程度が目処となり,補導委託の場合には,補導委託先での生活に慣れる期間が必要となるため4~6か月程度が目処となりますが,実際には事案によってその期間は様々であり,1年を超える場合もあります。

     

     

     



     

     

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