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2020.07.01

刑事事件

黙秘権とは?

 

テレビドラマなどでよく耳にする「黙秘権」という言葉。

本日は,「黙秘権」について説明いたします。

 

 

1 黙秘権に関する規定

 

憲法第38条第1項は,「何人も,自己に不利益な供述を強要されない。」として,いわゆる自己負罪拒否特権を保障しています。

 

そして,刑事訴訟法は,被疑者について「自己の意思に反して供述をする必要がない旨」の権利告知を定め(刑訴法第198条第2項),被告人について「終始沈黙し,又は個々の質問に対し,供述を拒むことができる」権利を保障するとともに(同法第311条第1項),冒頭手続においてこの権利の告知を定めています(同法第291条第3項)。

 

このように刑事訴訟法により被疑者・被告人に認められた全面的供述拒否権ないし沈黙の自由を「黙秘権」と呼びます。

 

憲法と刑事訴訟法の関係については,憲法は「不利益供述」強要の限度で何人に対してもこれを基本権として保障したものであり,刑事訴訟法上の「黙秘権」保障は,憲法の保障を拡張したものであると一般的には考えられています。

 

 

2 黙秘権が定められている趣旨

 

黙秘権が定められている趣旨については,事実上の強制による自白強要を防止し,人格の尊厳に由来する供述をするかどうかの意思決定の自由(供述の自由)を確保する点にあると考えられています。

 

すなわち,たとえ実際に罪を犯した者であっても,自分が有罪になる供述をなすべき義務を法律で負わせることは,人格を尊重する上から許されないという価値判断があるといえます。

 

自白強要を禁じる趣旨の被疑者・被告人の権利は,現代文明諸国の刑事手続きに普遍的な権利として確立されているといえ,国際人権規約B規約14条にも,すべての者は,その刑事上の罪の決定について「自己に不利益な供述又は有罪の自白を強要されない」旨を保障しています。

 

なお,黙秘権は供述を拒み,沈黙する権利であって,嘘をつく自由を認めるものではありません。

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