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2023.01.01

少年事件

少年事件における簡易送致手続とは?

 

本日は,少年事件における「簡易送致手続」について説明いたします。

 

目次

     

    1 全件送致主義について

     

    捜査機関(警察官・検察官)は,被害届等により刑罰法令に触れる行為が行われたことを知った場合には,行われた犯罪の内容や犯人が誰であるかなどの捜査を行います。

     

    そして,捜査機関による捜査が終了すると,捜査機関(警察官・検察官)は当該事件についてどのような処分とするかの判断をしますが,少年事件の場合,捜査機関が捜査を遂げた結果,少年が罪を犯したと判断した場合,すべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません(少年法第41条,42条)。

     

    このように,捜査機関が捜査を遂げた結果,少年が罪を犯したと判断した場合には,すべての事件を家庭裁判所に送致しなければならないことを「全件送致主義」といいます。

     

    全件送致主義が採られているのは,少年事件においては,科学的な調査機構を持つ家庭裁判所が専門的に少年の処遇を選択するのが相当であるからといわれています。

     

    なお,成人による刑事事件であれば,捜査機関(警察官・検察官)が罪を犯したと判断しても,裁判所に記録が送られることなく,警察段階・検察段階で手続きが終了することがあります(微罪処分,起訴猶予)。

     

     

    2 簡易送致手続について

     

    以上のとおり,少年事件においては全件送致主義が採られているものの,極めて軽微な事件についてまで厳格な方式に従った手続きを取ることは,却って少年に対する保護善導をする上で適切ではないとされていることから,かかる事件については,簡易な送致等の処理手続きが定められています。

     

    このように,非行事実が軽微で,要保護性の低い少年のうち,一定の条件を満たした事件について,司法警察員が,捜査資料の関係資料を添付することなく,簡単な送致書で,毎月一括して検察官又は家庭裁判所に送致することを「簡易送致」と呼びます(犯罪捜査規範第214条第1項)。

     

    簡易送致ができる事件は,罪種として,窃盗,詐欺及び横領並びに盗品等に関する罪,その他長期3年以下の懲役若しくは禁固,罰金,勾留又は科料にあたる罪であり,被害額が概ね1万円未満のものその他法益侵害の程度が極めて軽微なものとされています。

     

    もっとも,かかる条件を満たす場合であっても,犯行に凶器が用いられた場合や,少年に前歴がある場合などには,簡易送致することはできないとされています。

     

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