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2023.02.01

刑事事件

公判前整理手続とは? ~公判前整理手続の流れについて~

 

公判前整理手続は、刑事裁判の充実・迅速化を図り、事件の争点に集中した審理を実現するための公判準備で、平成17年11月から実施された制度になります。

 

本日は、「公判前整理手続の流れ」について説明いたします。

 

目次

     

    1 そもそも、公判前整理手続とは

     

    公判前整理手続とは、第1回目の公判前に、刑事事件の争点や証拠を整理するための準備手続きです。

     

    公判前整理手続の目的は、充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に実現するために審理計画を立てるというものです(刑事訴訟法第316条の2)。

     

     

    2 公判前整理手続の流れ

     

    公判前整理手続の大まかな流れは以下のとおりとなります。

     

    ①検察官による証明予定事実の開示及びその証明に用いる証拠の取調べ請求等

     

    刑事裁判においては、被告人が有罪であるということを証明する責任は検察官にあります。

     

    そのため、まずは検察官が「公判期日において証拠により証明しようとする事実(「証明予定事実」といいます。)」を書面で裁判所及び被告人側に明らかにします(刑事訴訟法316条の13第1項)。

     

    そして、その立証に必要な証拠の取調べを請求し(同法316条の13第2項)、請求した証拠を速やかに被告人側に開示します(同法316条の14)。

     

     

    ②弁護側からの請求に基づく、一定類型の証拠の開示

     

    検察官が請求する証拠は、検察官が所持している証拠のほんの一部に過ぎず、請求されない証拠の中には被告人に有利な証拠が存在する可能性があります。

     

    そこで、被告人側が防御としていかなる主張・立証をするか判断するとともに、検察官が請求する証拠の証明力を適切に判断する趣旨で、被告人側は、一定類型の証拠の開示を請求することが出来ます(同法316条の15)。このことを、「類型証拠の開示」といいます。

     

    請求を受けた検察官は、「その重要性の程度その他被告人の防御の準備のために当該開示をすることの必要性の程度並びに当該開示によって生じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し、相当と認めるとき」には、これを速やかに開示しなければなりません。

     

     

    ③被告人側の主張の明示とその証明に用いる証拠の取調べ請求等

     

    上記①~②の手続きを経た後、被告人側は証明予定事実のほか、その他主張を予定している事実上および法律上の主張を裁判所及び検察官に明らかにします(同法316条の17第1項)。

     

    そして、検察官と同様、必要な証拠の取調べを請求し(同法316の17第2項)、請求した証拠を速やかに検察官に開示します(同法316条の18)。

     

    また、被告人側及び検察官は、それぞれ、相手方が請求する証拠に対して書証を採用することに同意するか否か、証拠物を取り調べることに異議がないか等の意見を述べます(同法316条の16、316条の19)。

     

     

    ④被告人側の主張に関連する証拠の開示

     

    被告人側は、証明予定事実に関連する証拠について、「開示の請求にかかる証拠を識別するに足りる事項」と「主張と開示の請求に係る証拠との関連性その他被告人の防御の準備のために当該開示が必要である理由」を明らかにして検察官に開示を求めることができます(同法316条の20)。このことを、「主張関連証拠の開示」といいます。

     

    請求を受けた検察官は、「その関連性の程度その他の被告人の防御の準備のために当該開示をすることの必要性の程度並びに当該開示によって生じおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し、相当と認めるとき」は速やかに開示しなければなりません。

     

     

    ⑤争点及び証拠の整理の結果の確認

     

    以上の手続きを経て、公判前整理手続を終了するにあたっては、裁判所は、検察官及び被告人側との間で、事件の争点及び証拠の整理(取調べを行う証拠及びその順序、方法等)の結果を確認しなければなりません(同法316の24)。

     

     

    3 公判前整理手続に付された事件における平均審理期間

     

    裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(令和3年7月)によると、公判前整理手続に付された人員の平均審理期間は、全体として13.1ヵ月(自白事件に限ると9.9ヵ月、否認事件に限ると15.2ヵ月)とされています。

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