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2022.11.01

少年事件

改正少年法とは? ~「特定少年」と刑事事件の特例の一部適用除外について~

 

令和3年5月21日、少年法等の一部を改正する法律が成立し、令和4年4月1日から施行されました。

 

今回改正された主な事項は、以下の5つになります。

 

①「特定少年」の新設

 

②検察官送致(逆送)される対象事件の拡大

 

③実名報道の解禁

 

④保護処分に関する特例

 

⑤刑事事件の特例の一部適用除外

 

本日は、①「『特定少年』の新設」及び②「刑事事件の特例の一部適用除外」について説明いたします。

 

目次

     

    1 特定少年とは

     

    「特定少年」とは、「18歳以上の少年」、すなわち、18歳及び19歳の少年のことをいいます(改正少年法第62条第1項)。

     

    これまでも、少年法の対象年齢(20歳未満)を引き下げるべきではないかという議論があったことに加え、公職選挙の選挙権年齢や成年年齢が18歳に引き下げられたことなどから、令和3年5月21日、少年法等の一部を改正する法律が成立することとなりました。

     

    そして、改正少年法では、「特定少年」について、これまでどおり少年法の適用対象とするものの、選挙権年齢や民法の成年年齢の引下げにより、重要な権利・自由を認められ、責任ある主体として社会に参加することが期待される立場となったことから、その立場に応じた取扱いをするため、17歳以下の少年とは異なる特別の規定を定めることとなりました(改正少年法第5章)。

     

    以下、「特定少年」について定められた特別の規定のうち、「刑事事件の特例の一部適用除外」について解説します。

     

     

    2 刑事事件の特例の一部適用除外について

     

    ⑴ そもそも、刑事事件の特例とは

     

    少年事件において、少年に対する処分の中に「検察官送致(逆送)」という処分があり、検察官送致(逆送)後は、成人と同様に刑罰を科すことが基本となります。

     

    そして、検察官送致(逆送)後、少年に対して刑罰を科すことになる場合、成人の刑事事件とは異なる特別な規定がいくつかあります(詳細については、「少年に対する刑罰等の特例」をご覧ください。)。

     

    しかし、「特定少年」については、上記特別な規定が一部(勾留に関する特則、不定期刑、労役場留置の禁止、資格制限の特例など)除外されることになりましたので、その代表的なものである不定期刑の適用除外について紹介します。

     

     

    ⑵ 不定期刑の適用除外について

     

    従来の少年法では、刑事裁判を受けることになった少年に対して、有期の懲役または禁錮の刑罰を言い渡す場合には、「懲役5年」というように一定の期間を示さずに、法律上科すことのできる刑の範囲内で「懲役3年以上6年以下」というように幅をもった形で刑を言い渡すことになります。

     

    このような不定期刑を採用している趣旨は、少年は可塑性(少年は人格的に発展途上であり、適切な教育により更生することができること)に富み、教育による改善更生がより多く期待できることから、処遇に弾力性を持たせる点にあるとされています。

     

    これに対し、改正少年法では、「特定少年」に対して刑罰を言い渡す場合については、不定期刑の規定を適用しないこととされました(改正少年法第67条)。

     

    したがって、「特定少年」に対して刑罰を言い渡す場合には、成人と同じように「懲役5年」という明確な期間が示されることになります。

     

     

     



     

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