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2020.05.01

少年事件

少年事件における検察官関与制度とは?

 

本日は,少年事件における「検察官関与制度」について説明いたします。

 

 

1 検察官関与制度とは

 

少年事件における検察官関与制度とは,家庭裁判所が,非行事実の認定において問題のある事件について,一定の要件を満たす場合に,審判手続に検察官を出席させる制度です(少年法第22条の2第1項)。

 

通常,少年審判手続に検察官が関与することはありません。

 

しかし,非行事実の認定において問題がある事件については,証拠の収集,吟味における多角的視点の確保や,裁判官と少年側との対峙状況の回避,事実認定手続をより適正化することにより少年審判における事実認定に対する被害者や国民の信頼確保という見地から,2000年の少年法改正により,一定の事件に限り検察官関与制度が設けられることになりました。

 

少年審判手続への関与が認められた検察官は,非行事実の認定に資するため必要な限度で,事件の記録及び証拠物を閲覧・謄写し,審判に立ち会い,少年及び証人その他の関係人に発問し,並びに意見を述べることができるようになります(同法第22条の2第3項)。

 

 

2 検察官関与制度の要件

 

家庭裁判所は,以下の要件を満たす場合,検察官から関与の申出があるか,申出がない場合は検察官の意見を聞いたうえで,職権により,審判手続に検察官を関与させる決定を行うことができます(同法第22条の2第1項,第2項)。

 

①犯罪少年に係る事件であること

 

②死刑,無期,長期3年を超える懲役・禁固に該当する罪であること

 

③「非行事実を認定するために検察官が関与する必要があること」

 

③の「非行事実」には,犯行の動機,態様及び結果その他の当該犯罪に密接に関連する重要な事実も含まれるとされています。

 

そして,③の「非行事実を認定するために検察官が関与する必要がある」とは,事件の内容,性質等に照らし,検察官がその事実認定手続きに関与する必要があると認められる場合をいいます。

 

具体的には,非行事実の存否や犯人性が激しく争われたり,共犯事件において共犯少年同士が役割分担につき異なる供述をしていたりするなどして,証拠評価についての多角的視点の導入や,少年と家庭裁判所の対峙状況回避のため,検察官の関与が必要・有用と認められる場合が考えられます。

 

 

 



 

 

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