COLUMN

お知らせ

2022.10.15

刑事事件

過剰防衛とは?

 

 

本日は、「過剰防衛」について説明いたします。

 

目次

     

    1 はじめに

     

    刑事裁判において,被告人に言い渡される刑罰(量刑)を考えるうえで,法定刑という概念があります。

     

    法定刑とは,刑罰法規の各条文に規定されている刑をいい,例えば,殺人という罪(刑法第199条)については,「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」と定められている刑が殺人罪の法定刑ということになります。

     

    このように,被告人に言い渡される刑罰(量刑)はこの「法定刑」を出発点としますが,再犯加重などの刑の加重事由や,過剰防衛や自首などの刑の減軽事由がいくつか存在しますので,かかる刑の加重・減軽事由により刑の幅が修正されることがあります(このような刑の修正を行って導かれた刑を「処断刑」といい,実際に被告人に言い渡される刑を「宣告刑」といいます。)。

     

    そこで,本日は,減軽事由の一つである「過剰防衛」について説明いたします。

     

     

    2 過剰防衛とは

     

    過剰防衛の説明の前に正当防衛について説明します。

     

    正当防衛とは、「急迫不正の侵害に対して自己または他人の権利を防衛するため、やむを得ずした行為」をいいます(刑法第36条第1項)。

     

    これに対し、過剰防衛とは、「防衛の程度を超えた行為」をいいます(刑法第36条第2項)。

     

    すなわち、急迫不正の侵害に対して防衛の意思で反撃行為をしたが、その行為が「やむを得ずにした」とは認められない場合、すなわち、防衛手段としての相当性を欠く場合をいいます。

     

    正当防衛が成立する場合には、違法性が阻却され、犯罪の成立が否定されることになるのに対し、過剰防衛の場合、犯罪の成立が否定されることはありません。

     

    そして、過剰防衛は、

     

    ⑴質的過剰

    ⑵量的過剰

     

    の2種類に分けることができます。

     

    ⑴質的過剰とは、例えば、素手による攻撃に対して拳銃で反撃して死亡させるようなケースが考えられます。

     

    ⑵量的過剰とは、反撃行為によって相手の攻撃が終わったにもかかわらず、なおも反撃行為を続けたケースが考えられます。

     

    なお、過剰防衛の場合、犯罪が成立することになりますが、「情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。」と定められています(刑法第36条第2項)。

     

     



     

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