COLUMN

お知らせ

2018.08.07

刑事事件

準強制わいせつ罪とは?

 


 

岡山南署は,準強制わいせつ罪の疑いで,岡山市の柔道整復師の男性を逮捕しました。逮捕容疑は,自身が経営する整体院に来院した女性客に対して,施術と称して女性の胸を触ったり,体をなめたりするなどのわいせつな行為をしたというもの。

(上記事件は,フィクションです。)

 


 

本日は,上記事件をもとに,準強制わいせつ罪について簡単に説明いたします。

 

 

1 準強制わいせつ罪とは

 

準強制わいせつ罪は,暴行・脅迫を用いずに,被害者の抵抗困難な状態を利用して,わいせつな行為を行った場合に成立します。

 

強制わいせつ罪は,未遂罪についても処罰されます(刑法第179条)。

 

なお,13歳未満の者の心身喪失又は抗拒不能に乗じてわいせつな行為をした場合は,強制わいせつ罪が成立します(「強制わいせつ罪」については,こちらをご覧ください。)。

 

 

2 準強制わいせつ罪が成立するための要件

 

準強制わいせつ罪が成立するための要件を簡単に説明すると,以下のとおりになります。

 

①人の心身喪失若しくは抗拒不能に乗じ

   又は

 心身を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて

②わいせつな行為をした

 

各要件について少し説明しますと,

 

①の“心身喪失若しくは抗拒不能に乗じ”とは,

犯人の行為と無関係に存在する心神喪失状態又は抗拒不能状態を利用する場合が当たります。

具体的には,

・被害者が高度の精神遅滞の状態にあるのを利用した場合(福岡高判昭41・8・31)

・睡眠中であるのを利用した場合(仙台高判昭32・4・18)

・泥酔状態にあるのを利用した場合

などが考えられます。

 

①の“心身を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて”とは,

犯人が暴行・脅迫以外の手段で,心神喪失状態又は抗拒不能状態を惹起する場合が当たります。

具体的には,

・被害者に秘かに睡眠薬を飲ませた場合(広島高判昭38・1・28)

・催眠術を使った場合(東京高判昭51・8・16)

・医療行為を装った場合(東京高判昭33・10・31)

などが考えられます。

 

なお,①の“心身喪失” “抗拒不能”とは,

それぞれ,精神的な障害によって正常な判断力を失った状態(心神喪失),心理的又は物理的に抵抗ができない状態(抗拒不能)をいいます。

 

今回の事件を上記要件に当てはめて考えてみると,

 

①柔道整復師の男性が施術を装い,心理的に相手が抵抗できない状態を作り出したうえで

②女性の胸を触ったり,体を舐めたりするなどのわいせつ行為に及んだ

 

このように①~②の要件にすべて当てはまるため,準強制わいせつ罪が成立すると考えられます。

 

 

3 準強制わいせつ罪の法定刑と公訴時効

 

準強制わいせつ罪の法定刑は,6月以上10年以下の懲役と定められています(刑法第178条第1項)。

 

準強制わいせつ罪の公訴時効は7年とされています(刑事訴訟法第250条第2項第4号)。

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