COLUMN

お知らせ

2018.06.12

被害者に謝罪したい(被害弁償・示談をしたい)

1 はじめに

刑事事件における示談とは,一般に「事件を起こしてしまった加害者と被害者が,話し合いにより,事件を解決すること」といえます。

なお,被害者の方との示談交渉は,当事者同士に任せてしまうと,さらなる犯罪の危険や,示談交渉が難航する可能性が高いことなどから,弁護士を間に入れて進めるのが一般的といえます。

以下,示談の効果について説明するとともに,示談の成立時期についても説明いたします。


2 示談の効果

⑴ 不起訴処分等の不利益の少ない処分を獲得しやすくなる

刑事事件において示談が成立している場合には,被害回復がなされ,被害感情が緩和していると評価されることにより,刑事責任の軽減を図ることができます。

具体的には,示談成立の有無が,検察官による起訴・不起訴の判断,裁判官による量刑の判断(例えば,執行猶予をつけるかどうかの判断)に大きく影響することになります。

したがって,被害者の方との示談成立は,警察・検察の捜査段階においては,微罪処分や起訴猶予などの前科のつかない処分,裁判段階においては執行猶予などの刑務所に行くことを回避する処分につながるといえます。

⑵ 身柄拘束から解放されやすくなる

示談が成立していることは,身柄拘束からの解放にもつながります。

そもそも,身柄拘束は基本的に逃亡・罪証隠滅の防止を目的としています。
そして,被害者と示談が成立している場合には,わざわざ逃げたり証拠を隠したりすることは通常考えにくいといえます。

このように,示談が成立すると,逃亡・罪証隠滅のおそれが小さくなるといえることから,身柄拘束からの解放につながります。

⑶ 民事的な紛争の解決につながる

刑事事件はあくまで,行った犯罪を国家が裁く手続であり,被害者が加害者に賠償を求める手続(民事事件)とは異なります。そのため,刑事事件が終了しても,民事事件も終了したことにはならず,依然として加害者は被害者に対して損害を賠償する義務を負ったままとなります。

しかし,刑事事件において示談が成立し,その内容として「民事的紛争についても示談金の支払いにより解決する」という意味があった場合には,民事上の損害賠償義務を果たしたことにもなりますので,被害者からの請求という不安から解消されることができるのです。


3 示談の時期

示談締結による上記効果は,その成立時期が早ければ早いほど,大きくなります。

すなわち,「不起訴処分等の不利益の少ない処分を獲得しやすくなる」という効果については,警察等による捜査開始前の示談であれば,捜査そのものを回避するという大きな効果があり,警察等による捜査中であっても検察官による起訴前の示談であれば,前科を回避するという効果が残されています(もちろん,示談をすれば必ず,前科にならないというわけではありません。)。
これに対して,示談の成立が検察官による起訴後になってしまうと,前科を回避することはできず,量刑(刑の重さ)に影響を与えるという効果に止まってしまうことになります。さらに,示談の成立が刑事裁判終了後になると,刑事処分における効果はなくなってしまいます。

また,「身柄拘束から解放されやすくなる」という効果についても,示談の成立時期が早ければ早いほど,早い時期に解放されやすくなります。

このように,その成立時期が早ければ早いほど,示談による効果が大きくなりますので,なるべく早く示談交渉を開始したほうがよいと考えられています。

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