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2018.06.04

刑事事件

「前科」と「前歴」の違いとは?

 

「前科がついてしまった」「前科者」等の言葉を耳にすることがあると思いますが,「前科」の他に「前歴」という言葉もあることをご存知でしょうか?

 

「前歴」の方はあまり耳にしたことがない方が多いと思いますが,刑事事件に関わった時において,大切な言葉の一つです。

 

本日は,「前科」と「前歴」の違いとともに,それぞれの影響について説明いたします。

 

 

1 前科・前歴とは

 

⑴ 前科とは

正確な法律上の定義があるわけではありませんが,一般に「過去に刑事裁判において有罪判決を受けたこと」を指します。なお,罰金や執行猶予判決であっても有罪判決であることに変わりはありませんので,前科に該当します。

 

 

⑵ 前歴とは

被疑者として警察や検察からの捜査対象となった経歴(逮捕された等)のことを指します。刑事事件を起こし警察から犯罪の嫌疑をかけられ捜査の対象となった場合であっても,起訴猶予などの理由で不起訴処分となることがあります。起訴されておりませんので,刑事裁判において有罪判決を受けたことにはなりませんが(前科にはなりませんが),前歴として捜査機関に記録されることになります。

また,少年事件においても,家庭裁判所による保護処分などを受けた経歴についても,広い意味での前歴に該当するといえます。

 

 

2 前科・前歴がついた場合の影響

 

⑴ 前科による影響

前科による影響について,主なものを紹介いたします。

 

①検察庁等におけるデータベースでの管理

前科がついた場合には,法務省所管のもと検察庁のデータベース内に犯歴票等として記録され,前科を有する者が死亡するまで管理されます(犯歴事務規定18条)。

前科を有する者が再度犯罪を行った場合,検察官・裁判官はかかる記録を基に処分を決めることになり,前科を有する者に対してはより重たい処分が選択されることになります。

なお,前科が戸籍や住民票などに記載されることはありません。

 

②資格・職業の制限

前科がついてしまうと,前科の内容に応じて,すでに持っている公的な資格が停止・剥奪されることや,今後の資格取得に制限が生じてしまう場合があります。

 

③海外渡航の制限

旅券法により,禁錮以上の刑に処せられた場合(執行猶予も含みます)は,旅券の発給等が制限を受ける可能性があり,また,禁錮以上の前科がある場合は,旅券返納命令の可能性があります。

 

 

⑵ 前歴による影響

前歴についても捜査機関に記録として保存されることに変わりはありません。

したがって,前歴の内容や時期によっては,前歴を有する者に対してはより重たい処分が選択される可能性があるといえます。

 

しかし,それ以外に前科のような法律上の影響については,基本的に存在しません。

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