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2019.07.20
刑事事件
人を死亡させていない犯罪に関する公訴時効とは?
刑事ドラマなどで「時効が迫っている」「あと〇年で時効が成立する」といった言葉を聞くことがあると思います。
本日は,人を死亡させていない犯罪に関する公訴時効について簡単に説明いたします。
1 公訴時効とは
公訴時効制度とは,犯罪が終わった時から一定期間が経過することにより,公訴が提起できなくなることです。
公訴時効は,一定の経過に伴い,犯人を刑事訴追の可能性から解放するとともに,捜査機関等の刑事司法機関の負担を軽減させる効果があります。そして,その存在理由としては,時の経過により証拠が散逸し,真実を発見することが困難となっているという手続法上の理由と,②時の経過により犯罪の社会的影響が弱くなり,応報・改善等の刑罰の必要性が減少ないし消滅しているという実体法上の理由が指摘されています。
刑事法の時効には,公訴時効の他に刑の時効(刑法第31条以下)というものがあります。刑の時効とは,裁判確定後の刑罰権を消滅させるものであり,裁判確定前の公訴権を消滅させる公訴時効と異なります。
2 人を死亡させなかった犯罪に関する公訴時効の期間
公訴時効は,上記のとおり,犯罪が終わった時から一定期間が過ぎることにより公訴ができなくなることをいいますが,公訴時効の期間は犯罪及び法定刑の内容によって異なります。
まず,犯罪の内容に基づく分類として,人を死亡させたか否かによって区別されています。本日は,人を死亡させなかった犯罪に関する公訴時効について紹介します。
⑴ 人を死亡させておらず,死刑にあたる罪を犯した場合
人を死亡させておらず,死刑にあたる罪を犯した場合の公訴時効は,25年となります。
かかる罪に当たるものとしては,現住建造物等放火などがあります。
⑵ 人を死亡させておらず,無期の自由刑にあたる罪を犯した場合
人を死亡させておらず,無期の自由刑にあたる罪を犯した場合の公訴時効は,15年となります。
かかる罪に当たるものとしては,強盗致傷,強盗強制性交,身代金目的略取,通貨偽造などがあります。
⑶ 人を死亡させておらず,長期15年以上の自由刑にあたる罪を犯した場合
人を死亡させておらず,長期15年以上の自由刑にあたる罪を犯した場合の公訴時効は,10年となります。
かかる罪に当たるものとしては,強制性交,強盗,傷害などがあります。
⑷ 人を死亡させておらず,長期15年未満の自由刑にあたる罪を犯した場合
人を死亡させておらず,長期15年未満の自由刑にあたる罪を犯した場合の公訴時効は,7年となります。
かかる罪に当たるものとしては,強制わいせつ,窃盗,詐欺,恐喝,業務上横領などがあります。
⑸ 人を死亡させておらず,長期10年未満の自由刑にあたる罪を犯した場合
人を死亡させておらず,長期10年未満の自由刑にあたる罪を犯した場合の公訴時効は,5年となります。
かかる罪に当たるものとしては,未成年者略取,受託収賄,監禁などがあります。
⑹ 人を死亡させておらず,長期5年未満の自由刑又は罰金にあたる罪を犯した場合
人を死亡させておらず,長期5年未満の自由刑又は罰金にあたる罪を犯した場合の公訴時効は,3年となります。
かかる罪に当たるものとしては,暴行,名誉棄損,威力業務妨害などがあります。
⑺ 人を死亡させておらず,拘留又は科料にあたる罪を犯した場合
人を死亡させておらず,拘留又は科料にあたる罪を犯した場合の公訴時効は,1年となります。
かかる罪に当たるものとしては,侮辱,軽犯罪法違反などがあります。
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