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2022.06.15

少年事件

改正少年法とは? ~実名報道の解禁について~

 

令和3年5月21日,少年法等の一部を改正する法律が成立し,令和4年4月1日から施行されます。

 

今回改正された主な事項は,以下の5つになります。

 

①「特定少年」の新設

 

②検察官送致(逆送)される対象事件の拡大

 

③実名報道の解禁

 

④保護処分に関する特例

 

⑤不定期刑の適用除外

 

本日は,①「『特定少年』の新設」及び③「実名報道の解禁」について説明いたします。

 

目次

     

    1 特定少年とは

     

    「特定少年」とは,「18歳以上の少年」,すなわち,18歳及び19歳の少年のことをいいます(改正少年法第62条第1項)。

     

    これまでも,少年法の対象年齢(20歳未満)を引き下げるべきではないかという議論があったことに加え,公職選挙の選挙権年齢や成年年齢が18歳に引き下げられたことなどから,令和3年5月21日,少年法等の一部を改正する法律が成立することとなりました。

     

    そして,改正少年法では,「特定少年」について,これまでどおり少年法の適用対象とするものの,選挙権年齢や民法の成年年齢の引下げにより,重要な権利・自由を認められ,責任ある主体として社会に参加することが期待される立場となったことから,その立場に応じた取扱いをするため,17歳以下の少年とは異なる特別の規定を定めることとなりました(改正少年法第5章)。

     

    以下,「特定少年」について定められた特別の規定のうち,「実名報道の解禁」について解説します。

     

     

    2 実名報道の解禁について

     

    少年法第61条は、「家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。」と定めており、少年事件においては、事件の犯人特定につながる氏名・年齢・職業・住居・容貌などを報道する「推知報道」は原則禁止されています。

     

    このように推知報道が禁止される趣旨は、少年本人を特定した犯罪報道を規制することによって、少年の名誉・プライバシーを保護し、少年に対する社会的偏見の発生を防止し、それらを通じて、少年の健全育成及び更生を図る点にあります。

     

    しかし、改正少年法第68条は「第61条の規定は、特定少年のとき犯した罪により公訴を提起された場合における同条の記事又は写真については、適用しない。」と定めていることから、今回の改正により、「特定少年」が検察官送致された後、起訴(略式起訴を除く)された場合には、例外的に推知報道が解禁されることとなりました。

     

    このように「特定少年」の推知報道が例外的に解禁された理由は、責任ある立場となる特定少年が起訴され、公開の裁判で刑事責任を追及される立場となった場合には、推知報道を解禁し、社会的な批判・論評の対象となり得るものとすることが適当であると考えられた点にあります。

     

    もっとも、参議院法務委員会附帯決議において「特定少年のとき犯した罪についての事件広報に当たっては、インターネットでの掲載により当該情報が半永久的に閲覧可能となることをも踏まえ、いわゆる推知報道の禁止が一部解除されたことが、特定少年の健全育成及び更生の妨げとならないよう十分配慮されなければならないことの周知に努めること。」とされていることなどから、推知報道の禁止が解除されたとしても、報道機関は、実際に推知事項を報道するか否かについては、インターネットでの掲載により当該情報が半永久的に閲覧可能になることも踏まえて、慎重に判断すべきといえます。

     

    なお、実名報道が解禁されたのはあくまで「特定少年」が「公訴提起(略式起訴を除く)」された場合であり、特定少年以外の少年事件や、特定少年であっても捜査段階や、家庭裁判所審判段階においては原則どおり実名報道は禁止されています。

     

     

     



     

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