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お知らせ

2021.07.15

刑事事件

「起訴状一本主義」とは?

 

本日は,「起訴状一本主義」について説明いたします。

 

目次

     

    1 そもそも,起訴状とは

     

    検察官が裁判所に公訴を提起する場合,起訴状という書面を裁判所に提出します(刑事訴訟法第256条第1項)。

     

    起訴状には,被告人の本籍,住居,職業,名前,生年月日などといった,被告人を特定するに足りる事項と,公訴事実及び罪名が記載されます(同条第2項)。

     

    公訴事実とは,公訴提起の対象とされた犯罪事実についての検察官の主張で,当該犯罪事実のあった日時,場所及び方法等を記載して特定されることになります。

     

    例えば,スーパーで食料品など合計5点を万引きし,窃盗罪(刑法第235条)で起訴された場合,公訴事実及び罰条については,下記のように記載されます。

     

    公訴事実

    被告人は,令和●●年●●月●●日,午後●●時●分頃,岡山県岡山市●●町●番のスーパーマーケット「A」において, 食料品1個等5点(販売価格合計1,000円)を窃取したものである。

     

    罪名及び罰条

    刑法第235条 窃盗

     

     

    2 起訴状一本主義とは

     

    上記のとおり,起訴状はいたってシンプルで,この起訴状一枚のみが裁判所に提出されることとなり,被害者や被告人自身の供述調書,防犯カメラの映像等といった証拠書類は,起訴の段階では裁判所に提出されません。

     

    このように,起訴状には,裁判官に事件について予断を生じさせるおそれのある書類その他の物を添付等してはならず,公訴提起に際しては起訴状のみを提出する原則を「起訴状一本主義」といいます(刑事訴訟法第256条第6項)。

     

    このように「起訴状一本主義」が定められた趣旨は,公判審理を担当する裁判官が,裁判が始まる前に事件に関する証拠等に接して予断を抱くのを防止するとともに,裁判所の主導による訴訟進行を事実上困難にし,当事者の主導による訴訟追行すなわち「当事者追行主義」の訴訟進行方式を確立して,裁判所を中立的な判断者の地位に鈍化させることにより,「公平な裁判所」(憲法第37条第1項)を実現する点にあると考えられています。

     

     

     

     



     

     

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