COLUMN

お知らせ

2019.04.01

刑事事件

偽計業務妨害罪とは?


 

岡山北警察署は,自宅にあった賞味期限切れの食品をコンビニに陳列したとして,岡山市の無職の女性を逮捕しました。逮捕容疑は,賞味期限切れの食品をあたかも店の商品であるかのように陳列棚に置き,店の業務を妨害したというものです。

(上記事件は,フィクションです。)

 


 

本日は,上記事件をもとに,偽計業務妨害罪について簡単に説明いたします。

 

 

1 業務妨害罪とは

 

偽計業務妨害罪とは業務妨害罪の一つで,業務妨害罪は「偽計業務妨害罪」と「威力業務妨害罪」に分かれます。

 

偽計業務妨害罪とは,偽計を用いて人の業務を妨害した場合に成立する犯罪です。

 

 

2 偽計業務妨害罪が成立するための要件

 

偽計業務妨害罪が成立するための要件を簡単に説明すると,以下のとおりになります。

 

①偽計を用いて

②人の業務を

③妨害したこと

 

各要件について少し説明しますと,

 

①の“偽計”とは,

人を欺き,あるいは人の錯誤又は不知を利用することです。詐欺罪における「欺く行為」よりも緩やかな概念であり,被害者を直接欺く必要はなく,直接に人に向けられていなくてもよいとされています。したがって,直接には,機械に向けられたものも偽計となります。

 

具体的には,他人の名義で虚構の注文をして,徒労の物品配達を行わせた行為(大阪高判昭39・10・5)などが該当します。

 

②の“業務”とは,

自然人,法人その他の団体が社会生活上の地位に基づいて反復継続して従事する事務を指します。

 

③の“妨害した”とは,

現実に業務遂行が妨害されることは必要なく,これらに対する妨害の結果を発生させるおそれのある行為があれば足りるとされています。

 

今回の事件を上記要件に当てはめて考えてみると,

 

①賞味期限切れの商品をあたかも店の商品のように陳列し

②コンビニエンスストアの業務に

③支障をきたすおそれを生じさせた

 

このように①~③の要件にすべて当てはまるため,偽計業務妨害罪が成立すると考えられます。

 

 

3 偽計業務妨害罪の法定刑及び時効

 

偽計業務妨害罪の法定刑は,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金と定められています(刑法第234条)。

 

偽計業務妨害罪の公訴時効は,3年とされています(刑事訴訟法第250条第2項第6号)。

 

 

 

 



 

 

~葵綜合法律事務所について~

 

葵綜合法律事務所は,岡山県岡山市に事務所を構える法律事務所であり,刑事事件・少年事件を重点的に取り扱う弁護士北村一が所属しています。

 

偽計業務妨害罪に関することはもちろん,刑事事件・少年事件について何か弁護士にご相談したいことがございましたら,法律相談(初回無料)又は初回接見サービスをご利用ください。

 

 

 



 

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