COLUMN
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2022.03.15
刑事事件
再犯加重とは?
本日は,「再犯加重」について説明いたします。
目次
1 はじめに
刑事裁判において,被告人に言い渡される刑罰(量刑)を考えるうえで,「法定刑」という概念があります。
「法定刑」とは,刑罰法規の各条文に規定されている刑をいい,例えば,詐欺という罪(刑法第246条)については,「(1月以上)10年以下の懲役」と定められている刑が詐欺罪の「法定刑」ということになります。
このように,被告人に言い渡される刑罰(量刑)はこの「法定刑」を出発点としますが,再犯加重などの刑の加重事由や,心神耗弱や自首などの刑の減軽事由がいくつか存在しますので,かかる刑の加重・減軽事由により刑の幅が修正されることがあります(このような刑の修正を行って導かれた刑を「処断刑」といい,実際に被告人に言い渡される刑を「宣告刑」といいます。)。
そこで,本日は,刑の加重事由の一つである「再犯加重」について説明いたします。
2 再犯加重について
そもそも,再犯とは,一般的に前に罪を犯した者が再度罪を犯すことを指すと考えられますが,法律上,刑が加重される再犯はさらに一定の要件が加えられます。
すなわち,刑が加重される再犯について法律は,①懲役に処せられた者等が,②その懲役刑の執行が終わった日,または執行の免除があった日から5年以内に新たな罪を犯し,③新たな罪について有期懲役を科されるとき,その者を再犯として,刑を加重すると定めています(刑法第56条,第57条)。なお,3度,4度…とさらに罪を犯した者について3犯,4犯…と称することになり,その総称を累犯といいます。
そして,再犯加重について法律は,「再犯の刑は,その罪について定めた懲役の2倍以下とする。」と定めていますので(刑法第47条),最低限は法定刑のまま,最高限は法定刑の2倍以下として「処断刑」が設定され,その範囲内で具体的な刑罰を決めることになります。もっとも,有期懲役の加重の限度を定める刑法第14条第2項の適用により,30年を超えることはありません。なお,3犯以上の累犯についても,同様の範囲内での加重となります(刑法第59条)。
詐欺罪を例にとると,前述のとおり,詐欺罪の法定刑は「(1月以上)10年以下の懲役」となりますので,裁判官が,再犯加重する場合には,最低限についてはそのままの(1月以上)の懲役」,最高限については「10年以下の懲役」の2倍にあたる「20年以下の懲役」の範囲内で判決が言い渡されることになります。
~葵綜合法律事務所について~
葵綜合法律事務所は,岡山県岡山市に事務所を構える法律事務所であり,刑事事件・少年事件を重点的に取り扱う弁護士北村一が所属しています。
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