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お知らせ

2020.12.01

刑事事件

刑の一部執行猶予とは

 

平成28年6月1日に施行された改正刑法及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律により,刑の一部執行猶予制度が開始されました。

 

本日は,「刑の一部執行猶予」について説明いたします。

 

目次

     

    1 そもそも,執行猶予とは

     

    刑の執行猶予とは,有罪判決に基づく刑の執行を一定期間猶予し,その間に罪を犯さなかったときは,刑の言渡しがなかったのと同様の効果を生じさせる制度です。

     

    例えば,“懲役2年,執行猶予3年”という判決が言い渡されたとすると,“ひとまず一般の社会で生活させて,3年間罪を犯さなければ,2年間刑務所に行く必要はなくなる”ということになります。

     

     

    2 刑の一部執行猶予とは

     

    そして,刑の一部執行猶予とは,言い渡された刑の一部が猶予される制度のことをいいます。

     

    例えば,“懲役2年,その刑の一部である懲役6月の執行を3年間猶予する”という判決が言い渡されたとすると,まず猶予されなかった期間(1年6か月)を実際に服役し,その服役が終わると,懲役6か月については3年間その執行が猶予されることになります。

     

    したがって,猶予期間である3年間を無事に生活することができれば,懲役6か月の部分は執行されないことになるというものです。

     

    このように,刑の一部執行猶予の場合は,一定期間刑務所に収容されることになりますので,実刑判決の一種ともいえます。

     

     

    3 刑の一部執行猶予の目的

     

    犯罪をした者の再犯防止・改善更生を図るためには,施設内処遇後も引き続き一定期間にわたり社会内処遇を実施することが有用な場合があると考えられます。

     

    そこで,刑の言渡しの一つとして,刑期の一部を実刑とするとともに,その残りの刑期の執行を猶予することにより,施設内処遇に引き続き,相応の期間執行猶予として,社会内において刑の執行猶予取消しによる心理的強制の下で,社会内における再犯防止・改善更生を促すことを可能とする「刑の一部執行猶予制度」が導入されました。

     

    また,特に,薬物使用等の罪を犯した者の再犯防止が重要な課題となっていたことから,薬物使用等の罪を犯した者については,新たに「薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律」を制定して,刑法の規定に基づく刑の一部執行猶予制度よりも幅広く,一部執行猶予を言い渡すことを可能としました。

     

     



     

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