COLUMN

お知らせ

2018.06.28

少年事件

家庭裁判所調査官とは?

 

少年事件においては,家庭裁判所調査官の役割はとても重要になります。

 

本日は,その「家庭裁判所調査官」について説明いたします。

 

 

1 そもそも少年事件は,全件送致主義

 

少年事件は,すべての事件に関し家庭裁判所に事件を送致する“全件送致主義”がとられており,どんなに軽微な事件や示談ができている事件についても家庭裁判所に事件が送られることになります(少年法第41条,第42条)。

これは,たとえ非行事実は軽微なものであったとしても,その背景には様々な問題があることから,その専門的知識を有する家庭裁判所にすべての事件を送致させ,そこで行われる少年に対する調査を踏まえて少年に対する処遇を判断する方がよいという教育主義(少年法第1条)の表れということができます。

 

 

2 家庭裁判所調査官とは

 

家庭裁判所では,審判に付すべき少年について,調査が行われます(少年法第8条)。
この調査には,

①法的調査:非行事実の存否等に関する調査

②社会調査:要保護性(少年が将来的に再非行に至る可能性)に関する調査

があり,②社会調査は,裁判官の調査命令を受けた家庭裁判所調査官によって行われます。

 

家庭裁判所調査官は,心理学,教育学,社会学等の人間関係諸科学や法律学を学んだ家庭裁判所における調査の専門家です。家庭裁判所調査官は,その専門的知識を生かし,少年の性格や生育環境の調査などを行います。

少年法にも,「調査は,なるべく,少年,保護者又は関係人の行状,経歴,素質,環境等について,医学,心理学,教育学,社会学その他の専門的智識特に少年鑑別所の鑑別の結果を活用して,これを行うように努めなければならない。」と定められています(同法第9条)

 

3 調査の方法

 

家庭裁判所調査官による調査は,上記のとおり,その専門的知見の下,少年や保護者と面会したり,その他の関係者を家庭裁判所に呼んで面接をしたり,心理テストを行うなどの方法により行われます。また,家庭裁判所調査官自ら,少年の家や学校などに赴き,少年の普段の生活態度等について調査を行うこともあります。

 

調査の際,家庭裁判所調査官は,少年に対して反省を促すとともに,再非行を防止するための措置を行う場合があります。具体的には,少年を地域美化活動等のボランティアに参加させたり,被害者の方から直接聞き取った被害者の声を聞かせたりします。

また,保護者に対してもこれまでの教育態度の問題点を指摘したり,監護責任の自覚を促したりするなど,少年の更生のために必要な助言や指導を行います。

 

 

4 調査の報告

 

家庭裁判所調査官は,調査の結果を少年調査票等の書面で裁判官に報告することになります(少年審判規則第13条)。少年調査票には,少年の非行の内容や,家庭環境,生活史,交友関係,少年の性格などが記載されるとともに,少年に対してどのような処遇が適切かという調査官の意見が記載されます。

裁判官は,調査官の処遇意見を参考にして少年の処分を決めるため,調査官がどのような処遇意見を述べるかは,少年の処遇に大きく影響することになります。

 

 

 



 

 

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