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2021.11.01

少年事件

少年に対する処分の実情とは? ~主要な少年事件における処分の内訳について~

 

家庭裁判所に送致された少年については,家庭裁判所による調査を経た後,何らかの処分が決定されます。

 

本日は,司法統計を基に「少年に対する処分の実情」について説明いたします。

 

目次

     

    1 家庭裁判所による処分の概要

     

    家庭裁判所による終局決定には,以下のとおり5つの処分がありますので,それぞれの内容について簡単に説明いたします。

     

     

    ⑴ 審判不開始

     

    審判不開始とは,調査の結果,審判に付するのが相当でない場合等に,審判そのものを行わない決定のことをいいます(少年法第19条第1項)。

     

    審判に付するのが相当でない場合とは,調査官による教育的指導により,少年の要保護性(少年が将来的に再非行に至る可能性)が既に解消した場合などをいいます。

     

     

    ⑵ 不処分

     

    不処分とは,審判の結果,保護処分に付する必要がないと認めた場合などに,少年に対して何らの処分をしない決定のことをいいます(少年法第23条第2項)。

     

    保護処分に付する必要がないと認めた場合とは,調査・審判の過程で,調査官や裁判官による働きかけが講じられた結果,要保護性が解消し,再非行の危険性がなくなった場合や,非行事実が極めて軽微な場合などです。

     

     

    ⑶ 保護処分

     

    保護処分には,①保護観察,②児童自立支援施設又は児童養護施設送致,③少年院送致の3種類があります(少年法第24条第1項)。

     

     

    ⑷ 検察官送致

     

    検察官送致(逆送)とは,少年を調査した結果,保護処分ではなく成人と同様に刑事処分を科すことが相当であるとして,検察に送致する決定を行います(少年法第19条第2項,第20条)。

     

    検察官送致(逆送)がなされると,基本的に成人の刑事事件における公判(裁判)と同様の手続きとなります。

     

     

    ⑸ 知事又は児童相談所長送致

     

    知事又は児童相談所長送致とは,児童福祉法上の措置が必要であるためになされる通常の送致(少年法第18条第1項)と,強制的措置許可申請事件に対して,取るべき保護の方法その他の措置を指示して行われる特別の送致(少年法第18条第2項)の2つがあります。

     

    知事又は児童相談所長送致がなされると,訓戒又は誓約書の提出,児童福祉司もしくは児童委員等による指導,里親等への委託,並びに児童養護施設,もしくは児童自立支援施設等への入所措置が実施される可能性があります。

     

     

    2 少年に対する処分の実情 ~主要な少年事件における処分の内訳について~

     

    令和元年度の司法統計によると,一般保護事件(一般保護事件は,少年保護事件から道路交通保護事件〔道路交通法違反保護事件及び自動車の保管場所の確保等に関する法律違反保護事件〕を除いたものになります。)における家庭裁判所の終局処分の状況は,審判不開始37.4%,不処分20.5%,児童相談所長等送致0.6%,検察官送致2.5%,保護処分39%(保護観察30.1%,児童自立支援施設等送致0.7%,少年院8.2%)となっています。

     

    また,一般保護事件において事件数の多い窃盗,遺失物等横領,傷害について,それぞれ処分の内訳を見てみると,

     

    ①窃盗事件は,審判不開始42.3%,不処分20.8%,児童相談所長等送致0.4%,検察官送致1.5%,保護処分35%(保護観察28.4%,児童自立支援施設等送致0.3%,少年院6.2%)

     

    ②遺失物等横領事件は,審判不開始71.6%,不処分16.7%,児童相談所長等送致0.1%,検察官送致2.6%,保護処分8.9%(保護観察8.6%,児童自立支援施設等送致0.7%,少年院0.4%)

     

    ③傷害事件は,審判不開始13.2%,不処分20.5%,児童相談所長等送致0.4%,検察官送致2.9%,保護処分63%(保護観察46.7%,児童自立支援施設等送致0.8%,少年院15.4%)

     

    となっています。

     

     

     



     

     

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