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2020.08.15
少年事件
少年に対する刑罰等の特例とは?
少年事件において、少年に対する処分の中には「検察官送致(逆送)」という処分があり、検察官送致(逆送)後は、成人と同様に刑事処分を科すことが基本となります。
本日は、検察官送致(逆送)後の「少年に対する刑罰等の特例」について説明いたします。
目次
1 そもそも、検察官送致(逆送)とは
検察官送致(逆送)とは、少年を調査した結果、保護処分ではなく成人と同様に刑事処分を科すことが相当である場合や、本人が20歳以上である場合に、検察に送致する決定をいいます(少年法第19条第2項、第20条)。
検察官送致(逆送)後、少年に対しては保護処分ではなく、刑罰を科す手続きとなりますが、成人の刑事事件とは異なる特別な規定がいくつかありますので、その代表的なものを紹介します。
2 少年の刑事事件における特例について
⑴ 刑の緩和に関する特例
少年法第51条第1項には、「罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、死刑をもって処断すべきときは、無期刑を科する。」と規定しており、18歳未満の者が犯した罪の処断刑(法定刑に、法律上または裁判上の加重・減軽をし、修正を加えた刑)が死刑の場合であっても、必ず無期刑に減軽されることになります。
また、少年法第51条第2項には、「罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、無期刑をもって処断すべきときであっても、有期の懲役又は禁錮を科することができる。この場合において、その刑は、10年以上20年以下において言い渡す。」と規定しており、18歳未満の者が犯した罪の処断刑(法定刑に、法律上または裁判上の加重・減軽をし、修正を加えた刑)が無期刑の場合については、裁判所の裁量により、有期の懲役または禁錮を選択することができ、この場合、10年以上20年以下の定期刑を言い渡すことになります。
⑵ 不定期刑に関する特例
少年法第52条第1項は、「少年に対して有期の懲役又は禁錮をもって処断すべきときは、処断すべき刑の範囲内において、長期を定めるとともに、長期の2分の1(長期が10年を下回るときは、長期から5年を減じた期間。次項において同じ。)を下回らない範囲内において短期を定めて、これを言い渡す。この場合において、長期は15年、短期は10年を超えることはできない。」と規定しており、少年に対して有期の懲役または禁錮をもって処断すべきときは、その刑の範囲内において、長期と短期を定めてこれを言い渡すことになります。
例えば、「3年以上、6年以下の懲役」という形で言い渡されることになります。このように幅を持った刑期を定める刑のことを「不定期刑」といいます。なお、このような場合の「3年」を「不定期刑の短期」、「6年」を「不定期刑の長期」といいます。
これに対し、成人に対して有期の懲役又は禁錮を言い渡す場合、「懲役5年」などというように一定の刑期を定めて言い渡します(これを「定期刑」といいます。)。
不定期刑については、その長期を経過した場合はもちろん、短期を経過した後、地方更生保護委員会の判断で刑の執行を終了することができ(更生保護法第43条、44条)、仮釈放については短期の3分の1が経過した後に行うことができるとされています(少年法第58条1項3号)。
このような不定期刑を採用し処遇に弾力性を持たせている趣旨は、少年は可塑性(少年は人格的に発展途上であり、適切な教育により更生することができること)に富み、教育による改善更生がより多く期待できる点にあります。
⑶ 家庭裁判所への移送に関する特例
少年法第55条は、「裁判所は、事実審理の結果、少年の被告人を保護処分に付するのが相当であると認めるときは、決定をもって、事件を家庭裁判所に移送しなければならない。」と規定しており、少年法は、検察官送致(逆送)後も家庭裁判所へ移送する途を開いており、家庭裁判所へ移送された後は、改めて少年は、一般の少年事件と同様に、家庭裁判所の判断を受けることになります。
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