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2022.01.15
少年事件
少年院の収容期間とは?
本日は,「少年院の収容期間」について説明いたします。
目次
1 そもそも,少年院とは
少年院とは,家庭裁判所から保護処分として送致された少年及び少年法56条3項の規定により少年院において刑の執行を受ける者を収容し,これに矯正教育その他必要な処遇を行う施設です(少年院法第3条)。
少年院送致は,少年の自由を拘束する点で保護処分のうち,もっとも強力な処分といえます。
2 法定収容期間について
少年院に収容することができるのは,原則として20歳までとされていますが(少年院法第137条1項本文),20歳となった時点において少年院送致決定のあった日から1年を経過していないときは,その日から起算して1年間に限り収容を継続することができるとされています(同項但書)。
もっとも,少年の心身に著しい支障があり,又は犯罪的傾向が矯正されていないため,上記原則に定める日を超えて収容を継続することが相当と認める場合,少年院の長による収容継続申請(同法138条1項)に対し,家庭裁判所は,23歳を超えない期間内において収容を継続する旨の決定を行うことができます(同条2項)。
さらに,少年の精神に著しい障害があり,医療に関する専門的知識及び技術を踏まえて矯正教育を継続して行うことが特に必要であるため,23歳を超えて収容を継続することが相当と認める場合にいは,少年院の長による収容継続申請(同法139条1項)に対し,家庭裁判所は,26歳を超えない期間内において収容を継続する旨の決定を行うことができます(同条2項)。
3 実際の収容期間について
以上のとおり,法律は少年院の収容期間について定めていますが,少年院に収容される少年については,収容期間の満了前に仮退院を許されることがありますので(少年院の仮退院については,こちらをご覧ください。),実際には上記期間よりも短い収容期間となる場合があります。
ここでは,仮退院が認められる段階,すなわち処遇段階が最高段階(1級)に達する目安を簡単に説明いたします。
⑴ 家庭裁判所が収容期間について,「短期間」の処遇勧告を行った場合
家庭裁判所が矯正教育の期間として「短期間」の処遇勧告を行った場合の収容期間の目安は,6カ月(実際の基準期間は20週)になります。
また,家庭裁判所が「短期間」の範囲内で特に短い期間を矯正教育の期間として設定することを相当とする旨(「特別短期期間」)の処遇勧告を行った場合の収容期間の目安は,さらに短い4か月(実際の基準期間は11週)になります。
なお,「短期間」の処遇勧告の対象となる少年については,「その者の持つ問題性が単純又は比較的軽く,早期改善の可能性が大きいもの」とされています(矯正教育課程に関する訓令)。
⑵ 家庭裁判所が収容期間について,「比較的短期」の処遇勧告を行った場合
家庭裁判所が矯正教育の期間として「比較的短期」の処遇勧告を行った場合の収容期間の目安は,8カ月から10か月になります。
⑶ 家庭裁判所が収容期間についての処遇勧告を行わなかった場合
家庭裁判所が矯正教育の期間についての処遇勧告をしない場合の収容期間の目安は,概ね1年間になります。
このように処遇勧告をしない場合が標準的な収容期間とされています。
⑷ 家庭裁判所が収容期間について,「比較的長期」の処遇勧告を行った場合
家庭裁判所が,矯正教育の期間として「比較的長期」の処遇勧告を行った場合の収容期間の目安は,1年から2年以内になります。
⑸ 家庭裁判所が収容期間について,「相当長期」の処遇勧告を行った場合
家庭裁判所が,矯正教育の期間として「相当長期」の処遇勧告を行った場合の収容期間の目安は,2年を超える期間になります。
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