COLUMN
お知らせ
2023.01.15
刑事事件
弁論とは?
刑事事件のニュース等で、「本日の裁判では、弁護人による弁論が行われる予定です。」などと報じられることがありますが、「弁論」とはどのようなものでしょうか。
本日は、「弁論」について説明いたします。
目次
1 はじめに
刑事裁判が進み、すべての証拠調べが終わると、検察官及び弁護人はそれぞれ意見を述べます。
検察官が述べる意見を「論告(求刑)」といい、弁護人が述べる意見を「弁論」といいます(検察官による「論告(求刑)」については、こちらをご覧ください。)。
このように検察官及び弁護人がそれぞれ意見を述べる目的は、訴訟の全過程を通じて行われた訴訟活動の結果を明らかにし、裁判所に検察官・弁護人の主張するところを確認させ、その判断形成に影響を与える点にあります。
2 弁論とは
上記のとおり、論告に引き続き、弁護人も意見を陳述することが認められており、弁護人による意見の陳述を「弁護人の弁論」又は「最終弁論」といいます。
なお、被告人自身にも意見を述べる権利が認められており、被告人による意見の陳述を「被告人の最終陳述」などと称しています。
弁論の内容について、法は何ら規定していないものの、論告に対応して行われるべきものであると考えられるため、論告と同じように「事実及び法律の適用」について行われます(刑事訴訟法293条2項参照)。
実務上、弁護人は、
①公訴事実に関すること
②情状に関すること
の順序で意見を述べることが多いと思われます。
公訴事実に争いがある事件については、上記①について、検察官の主張や立証を攻撃(弾劾)することがメインになります。具体的には、検察官が請求する証拠(被害者や目撃者の証言)に信用性が認められないことや、検察官の証明過程が不十分であること、被告人にはアリバイが認められること等を主張します。
一方、公訴事実に争いがない事件においては、被告人側の関心は量刑にあることから、上記②について、被告人に有利な情状事実が認められることはもちろん、当該事実がなぜ有利な情状として評価されるべきかについても説得的に示すことが求められることになります。
そして、論告における求刑と同様に、弁護人も具体的な量刑意見を述べることができます。
以前は、「できるだけ寛大な判決を求める」や単に「執行猶予を求める」などの抽象的な表現にとどまることが多かったものの、裁判員裁判を中心に具体的な意見を述べる環境が整ったことなどから、「懲役3年執行猶予5年が相当である」という様な形でより具体的な意見を述べることも多くなりました。
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