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2020.08.01

刑事事件

微罪処分とは?

 

本日は,「微罪処分」について説明いたします。

 

目次

     

    1 微罪処分とは

     

    通常,一次的捜査機関は警察であり,警察が事件を認知し,所定の捜査を遂げれば,事件を検察官に送致しなければなりません(刑事訴訟法第246条本文)。

     

    もっとも,検察官が指定した一定の軽微な事件については,送致する必要はなく,1カ月ごとに一括して検察官に報告すればよいことになっています(同法第246条但書,犯罪捜査規範第198条)。

     

    このように,警察が,罪を犯した成人の事件を検察官に送致することなく,刑事手続を警察段階で終了させる処分のことを「微罪処分」といいます。

     

    微罪処分の際は,警察より,被疑者に対する訓戒や,親権者等を呼出し,将来の監督につき必要な注意を与えること,被害回復措置等を講ずるよう説諭がなされることになります(犯罪捜査規範第200条)。

     

    微罪処分の場合,手続きが警察段階で終了しますので,刑事裁判になることはなく前科がつくこともありません。

     

     

    2 微罪処分となる事件について

     

    微罪処分となる事件とは,「犯罪事実が極めて軽微であり,かつ,検察官から送致の手続をとる必要がないとあらかじめ指定されたもの」(犯罪捜査規範第198条)とされていますが,検察官がどのような事件を指定しているかは公表されておりません。

     

    もっとも,一般的には,⑴窃盗,詐欺,横領,業務上横領又は盗品等に関する罪であれば,①被害金額が2万円以下であること,②犯情が軽微であること,③被害回復がなされていること,④被害者が処罰を望んでいないこと,⑤素行不良者でない偶発的犯行であること,⑥再犯のおそれがないこと,⑵暴行事件であれば,①凶器を使用していないこと,②被害者が処罰を望んでいないこと,③素行不良者でない偶発的犯行であること,⑶賭博事件であれば,①犯情が軽微であること,②賭けた財物が極めて僅少であること,③共犯者全員が初犯で再犯のおそれがないことといった条件を満たしている事件が対象となると考えられています。

     

    警察庁「平成30年の犯罪」によると,微罪処分となる割合が高い犯罪としては,⑴暴行,⑵窃盗(乗り物盗,非侵入盗),⑶占有離脱物横領となります。

     

     

     



     

     

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