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2018.08.11
刑事事件
未遂罪とは?
テレビニュースなどで,「殺人未遂罪で逮捕しました。」といった報道を目にすることもあるかと思いますが,そもそも未遂罪とはどのような罪なのでしょうか。
本日は,「未遂罪」を解説いたします。
目次
1 未遂罪とは
未遂犯とは,犯罪の実行に着手したものの,これを遂げなかった者をいいます。すなわち,未遂罪は,犯罪行為に着手したものの,犯罪結果が生じなかった場合に成立することになります。
例えば,被害者を殺そうと考え,被害者を包丁で刺したものの,死亡するに至らなかった場合(殺人未遂罪)などが考えられます。
そして,犯罪結果が生じなかった理由が自己の意思によって中止した場合を中止未遂,その他の事情により結果が生じなかった場合を障害未遂として区別しています。
なお,すべての犯罪につき未遂罪が処罰されるわけではありません。個々の罪ごとに処罰されるかどうかが定められており(刑法第44条),殺人罪,強盗罪,詐欺罪などは未遂罪を処罰する旨が規定されていますが,器物損壊罪,業務妨害罪,公然わいせつ罪などには未遂罪が規定されておらず,処罰されません。
2 「犯罪の実行に着手した」とは
未遂犯として処罰されるためには,「犯罪の実行に着手した」ことが前提となりますが,一般に,犯罪結果の実現に至る現実的危険性を含む行為を開始した時点において,「犯罪の実行に着手した」と判断されます。
具体的には
・窃盗罪につき,深夜,電気器具商の店舗内に侵入し,たばこ売り場に行きかけた時点(最決昭40・3・9)
・強姦罪(現 強制性交等罪)につき,被害者を自身の自動車に引きずり込んだ時点(最決昭45・7・28)
で「犯罪の実行に着手した」とされています。
3 未遂罪の刑罰について
刑法第43条には,「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は,その刑を減軽することができる。ただし,自己の意思により犯罪を中止したときは,その刑を減軽し,又は免除する。」と定められており,本文が障害未遂に関するもの,ただし書が中止未遂に関するものになります。
このように,障害未遂の場合は刑の任意的減軽,すなわち刑を減軽するかは裁判官の裁量次第であるのに対し,中止未遂の場合は刑の必要的減免,すなわち刑が必ず減軽ないし免除されることになります。
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