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2019.03.01
刑事事件
被害者等による心情等の意見陳述制度とは?
犯罪被害者に対する配慮と保護を図るための制度として,「被害者等による心情等の意見陳述制度」があります。
本日は,「被害者等による心情等の意見陳述制度」について説明いたします。
1 被害者等による心情等の意見陳述制度が設けられた経緯
被害者等による心情等の意見陳述制度(刑事訴訟法292条の2)は,2000年の刑事訴訟法改正により設けられたものであり,被害者等の心情や事件に対する意見を述べることを可能とした制度です。
もともと被害者は,刑事事件における裁判の当事者ではありませんが(刑事裁判は,被告人に対する国家刑罰権の存否およびその範囲を決定する手続きであるため,刑事裁判において当事者となるのは国家〔検察官〕と被告人とされています。),当該事件の刑事手続に深い関心を持つ被害者やその遺族の立場に配慮して,公判手続きの場で主体的に意見を陳述する機会が設けられました。
2 被害者の心情意見陳述制度の内容
被害者の心情意見陳述制度とは,上記のとおり,被害者等の心情や事件に対する意見を述べることを可能とした制度になります。
この制度による意見陳述ができる者は,被害者本人とその法定代理人であり,被害者本人が死亡した場合や心身に重大な故障がある場合は,被害者の配偶者,直系の親族,兄弟姉妹となります(刑事訴訟法292条の2第1項)。
被害者等による意見陳述の申出は,あらかじめ検察官に対して行い,検察官は,意見を付してこれを裁判所に通知します(同条第2項)。そして,裁判所は,かかる申出があった場合,原則として公判期日において意見を陳述させることになります(同条第1項)。
意見陳述の内容は,「被害に関する心情その他の被告事件に関する意見」です。「被害に関する心情その他の被告事件に関する意見」とは,被害者の抱く被害感情や被告人に対する処罰感情,事件に対する評価などをいい,事件に無関係な事項,犯罪の成否に関する事件関係についての意見は許されません(同条第9項)。
意見陳述は証人尋問ではないことから,性質上,その信用性を弾劾する反対尋問をすることはできません。しかし,陳述内容の趣旨を明確にしたり確認したりするために,裁判所及び訴訟関係人は,意見陳述の後に被害者等に質問することができます(同条第3項,第4項)。
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