COLUMN
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2018.06.15
刑事事件
被疑者ノートとは?
「被疑者ノート」という言葉をご存知でしょうか。被疑者ノートとは,捜査機関からの取調べについて被疑者が記入するものであり,捜査の適法性や供述の信用性について立証する際に役立つものになります。
本日は,この「被疑者ノート」について説明いたします。
1 被疑者ノートとは
被疑者ノートとは,被疑者に取調べの状況・内容を記録してもらうための書き込み式ノートになります。日本弁護士連合会(日弁連)が発行元であり,日弁連のホームページから誰でもダウンロードすることができます。逮捕・勾留された被疑者は直接自分で手に入れることはできませんので,通常は弁護人(弁護士)が接見に来た時に差し入れることが多いです。
2 被疑者ノートの内容
被疑者ノートに記載されている主な内容は,以下のとおりです。
□身体拘束と刑事手続きの流れ
□取調べに対するアドバイス
□メモ欄
□被疑者ノートの記載例
□取調べに関する日記
・取調べ時間(開始~終了)
・取調官の氏名
・取調べ事項
・取調べ方法(黙秘権の告知、録画の有無、暴行・脅迫の有無)
・取調べ官の態度
・あなたの対応(供述内容)
・弁護人との接見の有無
・誰と面会したか
・差入れの有無、また差入れ物
3 被疑者ノートのメリット
①違法・不当な捜査への抑制
取り調べの際に,捜査機関から自白の強要や利益誘導などがあった場合に,その旨を被疑者ノートに記入することで,捜査機関からの違法・不当な捜査を抑止する効果があります。
②被疑者自身の供述を記録化する
被疑者が犯行内容を否認している場合に,その言い分が捜査段階の初期から一貫しているとすると,その供述の信用性が高いという評価につながります。そこで,取り調べ状況及び被疑者の言い分を被疑者ノートに記入することで,被疑者の言い分が一貫していることを証明する証拠を作成することができます。
③弁護人(弁護士)による捜査状況の把握
捜査機関が取り調べの際に話した内容から,捜査機関が描いている事件のストーリーや,捜査の進捗状況が把握できる場合があります。しかし,捜査機関の言葉を弁護人(弁護士)の面会まで,正確に記憶することは難しいといえます。そこで,捜査機関による取り調べの後,被疑者ノートに記入することができれば,より正確に捜査状況を把握することにつながります。
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