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2018.11.28
刑事事件
裁判所の管轄とは?
検察官は,当該事件について裁判を行う権限を有する裁判所に起訴状を提出しなければなりません。この当該事件について裁判を行う権限を有する裁判所のことを管轄裁判所といいます。
本日は,裁判所の管轄について説明いたします。
1 管轄とは
第一審の裁判の管轄は,事件の軽重に基づく「事物管轄」と,主として被告人の出頭や防御活動の便宜に配慮した「土地管轄」があります。
管轄権のない裁判所に公訴を提起した場合,原則として,管轄違いの判決により手続が打ち切られることになります(刑事訴訟法第329条)。
2 事物管轄とは
事物管轄とは,犯罪の種類(罪名又は刑名)を標準として,その軽重によって定められた第一審の管轄の分配をいいます。
簡易裁判所は,①罰金以下の刑に当たる罪,②選択刑として罰金が定められている罪,③常習賭博罪・賭博場開帳罪,窃盗罪・同未遂罪,横領罪,盗品等に関する罪の事件を管轄します(裁判所法第33条第1項第2号)。
地方裁判所は,罰金以下の刑に当たる罪の事件及び高等裁判所が第一審を担当する事件を除くほか,すべての罪の事件を管轄します(裁判所法第24条第2号)。
高等裁判所は,内乱罪に当たる事件について第一審の管轄権を有します(裁判所法第16条第4号)。
以上のとおり,選択刑として罰金が定められている罪と常習賭博罪等の一定の罪の事件については,簡易裁判所と地方裁判所が競合して事物管轄を有することになりますので,この場合,どちらに起訴するかは検察官の判断によることになります。
3 土地管轄とは
土地管轄とは,事件の土地的関係によって定められた第一審の管轄の分配をいいます。
各裁判所は,その管轄区域内に,「犯罪地」又は被告人の「住居」「居所」「現在地」がある事件について,土地管轄を有します(刑事訴訟法第2条第1項)。
「犯罪地」とは,犯罪事実の全部または一部が発生した場所をいいます。行為地と結果発生地が異なる場合は,両者が犯罪地となります。
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