COLUMN
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2022.02.01
刑事事件
酌量減軽とは?
本日は,「酌量減軽」について説明いたします。
目次
1 はじめに
刑事裁判において,被告人に言い渡される刑罰(量刑)を考えるうえで,「法定刑」という言葉があります。
「法定刑」とは,刑罰法規の各条文に規定されている刑をいい,例えば,殺人という罪(刑法第199条)については,「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」と定められている刑が殺人罪の「法定刑」ということになります。
このように,被告人に言い渡される刑罰(量刑)はこの「法定刑」を出発点としますが,再犯加重などの刑の加重事由や,心神耗弱や自首などの刑の減軽事由がいくつか存在しますので,かかる刑の加重・減軽事由により刑の幅が修正されることがあります(このような刑の修正を行って導かれた刑を「処断刑」といい,実際に被告人に言い渡される刑を「宣告刑」といいます。)。
そこで,本日は,減軽事由の一つである「酌量減軽」について説明いたします。
2 酌量減軽とは
酌量減軽とは,「犯罪の情状に酌量すべきものがあるとき」に,酌量してその刑を任意的に減軽することをいいます(刑法第66条)。
「犯罪の情状に酌量すべきものがあるとき」とは,犯罪の具体的情状に照らして,法定刑又は法律上の加重減軽を経て得られた処断刑の最下限でもなお重すぎて,さらに低い刑を科するのが相当と認められる場合をいいます。
そして,減軽の方法については,例えば,有期の懲役・禁固を減軽するときは,その刑期の2分の1を減ずることになります(刑法第68条3号)。
殺人罪を例にとると,前述のとおり,殺人罪の法定刑の最下限は「5年の懲役」となりますが,具体的情状に照らしてそれでは重すぎて,さらに低い刑を科するのが相当と認められる場合には,酌量減軽が行われ,「5年の懲役」の2分の1にあたる「2年6月以上の懲役」のなかで判決が言い渡されることになります。
以上のとおり,酌量減軽は,犯罪の具体的情状に照らして,法定刑又は処断刑の最下限でもなお重すぎて,さらに低い刑を科するのが相当と認められる場合に行われるものですので,法定刑の範囲内で相当な刑を言い渡すことができる場合には,原則として酌量減軽をすべきではないということになります。
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