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お知らせ

2019.08.15

刑事事件

押収拒絶権(公務上の秘密)とは

 

本日は,押収拒絶権(公務上の秘密)について説明いたします。

 

 

1 そもそも押収とは

 

押収とは,物の占有を取得する処分のことをいい,押収の種類として,差押え(刑事訴訟法第218条第1項),領置(同法第221条)等が定められています。

 

そして,差押えとは,人の占有を強制的に排除して物の占有を取得する処分のことをいいます。

 

これに対して,領置とは,被疑者等が遺留した物,又は所有者・所持者・保管者が任意に提出した物の占有を取得する処分のことをいいます。

 

 

2 押収拒絶権(公務上の秘密)とは

 

上記のとおり,押収とは,物の占有を取得する処分のことをいい,捜査員等が令状に基づき自宅や事務所に捜索差押えに来た場合,押収を拒むことはできません。

 

もっとも,例外的に,押収拒絶権が認められる場合があります。

 

その1つが,公務員や,衆議院議員・参議院議員,内閣総理大臣・その他の国務大臣又はそれらの職にあった者が保管・所持する物について,「職務上の秘密」に関するものである旨の申立てがなされたときです(同法第103条本文,第104条第1項)。この場合,監督官庁の承諾がなければ押収することはできません。なお,「職務上の秘密」に該当するか否かは,申立てをする公務員等が判断することになります。

 

もっとも,監督官庁は,「国の重大な利益」を害する場合を除き,承諾を拒むことはできないとされています(同法第103条但書,104条第2項)。「国の重大な利益」を害する場合としては,その事実が公開されることによって国の安全又は外交上の利益に重大な支障が及ぶ可能性がある場合,公安の維持に重大な支障を生じさせるおそれがある場合などが考えられます。

 

公務員等に押収拒絶権を認めたのは,刑事手続きにおける事案の真相解明という利益を超える国の重大な利益を保護する趣旨であると説明されます。

 

押収拒絶権が認められるもう1つのケースは,一定の事業者(医師,弁護士等)について,対象物が他人の秘密に関するときです(詳細は「押収拒絶権(業務上の秘密)とは?」をご覧ください。)。

 

 

 



 

 

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