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2022.12.01

刑事事件

国選弁護人の複数選任とは?

 

刑事事件において被疑者・被告人のために弁護活動を行う弁護士のことを「弁護人」と呼びます。この弁護人は「私選弁護人」と「国選弁護人」に分けることができます。

 

本日は、「国選弁護人の複数選任」について説明いたします。

 

目次

     

     

    1 そもそも、国選弁護制度とは

     

    国選弁護制度とは、刑事事件において、被疑者・被告人が貧困などの理由で自らの費用で弁護人を選任することができないときに、国の費用で弁護人を付する制度です。

     

    国選弁護制度には、被疑者段階(起訴前)における「被疑者国選弁護」、被告人段階(起訴後)における「被告人国選弁護」がそれぞれ用意されています(それぞれに関する説明については、「被疑者国選弁護制度とは?」「被告人国選弁護制度とは?」をご覧ください。)。

     

     

    2 国選弁護人の複数選任について

    ⑴ 被告人段階における国選弁護人の複数選任について

     

    説明の都合上、被告人段階における国選弁護人の複数選任について説明いたします。

     

    被告人の国選弁護人の人数について直接定めた法律はないものの、実務上、1人が原則であると解されています。もっとも、1人では弁護人の負担が特に加重で、被告人の利益保護の見地から十分な弁護活動ができない場合には、複数人を選任する運用がなされています。

     

    そこで、どのような事件において複数選任が認められるかについては、

    裁判員裁判・公判前整理手続対象事件など短期間に集中的な弁護活動が必要となる事件において、

    ①事件の内容が複雑困難で、事実関係の把握、分析、検討その他必要な弁護活動が特に過重負担となることが想定されるとき

    ②被告人が公訴事実を否認しており.事実関係の把握、分析、検討、被告人との打合せ、公判対策その他必要な弁護活動が特に過重負担となることが想定されるとき

    ③被告人の性格・態度・属性等が特殊であり、弁護人が被告人と意思疎通を図ることが困難であるなど、弁護活動を進める上で大きな支障が想定されるとき

    ④社会的注目度が特に高く、マスコミ対策など本来の弁護活動以外に特段の対応・配慮が必要となることが想定されるとき

    のいずれかに該当するか、これらに準ずる事情がある場合などが考えられます。

     

     

    ⑵ 被疑者段階における国選弁護人の複数選任について

     

    被疑者の国選弁護人については、「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮にあたる事件について…特に必要があると認めるとき」は、裁判官が職権でさらに1名の国選弁護人を追加選任できると規定しています(刑事訴訟法第37条の5)。

     

    具体的にどのような場合が「特に必要があると認めるとき」に当てはまるかについては、先ほど説明した被告人段階における国選弁護人の複数選任と同様に、公訴が提起されれば公判前整理手続に付され、短期的・集中的審理を行うことが予想され、前記①~④のいずれかに該当するか、これらに準ずる事情がある場合などが考えられます。

     

     

     



     

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